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「見守る学び」

山村留学指導員 江田静香

 私は好奇心が旺盛で、おっちょこちょいな子どもだった。小・中学生の頃は学校でよく怪我をして、母親が駆けつけてくれていた。今思えば母親は働いていたため、迎えに来るのは大変だったと思う。
 昔は小学校に様々な遊具があり、一緒に遊んでいた友達はみんな運動神経が良かった。私もみんなと同じように遊びたいと、挑戦しては毎回どこか抜けていて、母親に面倒をかけることが度々あった。二メートルほどの高い鉄棒で前回りをしようとして、何故かはわからないが、手を離して顔面から落っこちたり。またある時は、「ホチキスで指を挟んだらどうなるのだろう?」と訳の分からない好奇心から、爪ごと指を挟み血だらけになったり。今となっては笑い話だが、これら以外にも沢山のエピソードがある。

 その中で「危ないからやめなさい」と母親に言われた記憶は無い。もしかしたら、警告よりも先に、私が想像を超える行動をしていたのかもしれないけれど......。
 しかし、数々の失敗体験が今の私の危機管理能力に繋がっているのだと思う。怪我をして初めて、失敗した理屈がわかり、「同じことを繰り返さない」と自分に誓うのだ。怪我に限らず、大人になってからも何かをする上で、その信念は変わらない。
 子育てをする人は自分の経験と予測から、怪我をしないように、失敗しないようにと、前もって子どもに注意をする。それは一種の愛なのだろうと思う。だが、その愛は子ども達に受け取って貰えないこともしばしば。
 そんな時に心の中で強く響くのが、「待つこと」が子育てだということ。もちろん、子ども達へ安全な環境を整えてあげることも指導員の仕事である。しかし、過度な管理によって、子ども達の興味や考える力を削いではいけない。ついつい先走ってしまいそうになるが、そこをグッと堪えて、支え、見守ってあげるのが、今の私の学びである。失敗から多くの物を学んだ私は、これから「待つ愛」も子ども達に注いであげたい。















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