「畑で育まれる心」
くらぶち英語村
山村留学指導員 主代望都
夏もいよいよ本番を迎え、植物もさらに生き生きとしてきた。畑の野菜たちもどんどん大きくなり、子ども達は毎日のように喜々として畑へと出かける。
採れたての野菜を満足そうに頬張りながら帰ってくる子、家族に送ると言って、大切そうに野菜を持って帰ってくる子。自分で頑張って育ててきた野菜だ、喜びも感動もひとしおだろう。
今年、私は入職三年目にして初めて畑活動の担当となった。これまでの二年間では、畑の活動は子ども達と一緒にこなしてきたことはあったものの、担当となったことはなかった。そもそも私は畑作業にも野菜にも詳しくはないため、今年、畑の担当に決まり正直困ってしまった。
周囲の方々の手を借りつつ何とか畑の活動を進めているが、困惑することは多い。もしかしたら継続生の方が畑に詳しいのではないかと思うほど、自分の知識不足をひしひしと感じながら作業をする日々だ。
子ども達と畑作業をしていると、その子の個性が畑に反映されることに気づく。植える野菜の種類だとか、支柱の立て方だとか、雑草の生え具合だとか、一人ひとり面白いほどに違う。効率性を重視する子は一畝に二種類の野菜しか植えなかったりするし、豪快な子は大きくてメジャーな野菜を何種類も植えていたりする。好奇心旺盛な子などは、間引きした野菜を畑の外に植え替えて様子を見守るなど、行動も逐一(ちくいち)面白い。
また、子ども達の優しさや温かさも畑を通じて見えてくる。育てた野菜を他の子たちと分け合う子たちや野菜を嬉しそうに収穫する子どもたちの姿を見ると、その子たちの素の部分を垣間見れたような気持ちになる。きっと自分が育てている野菜に対しては、どんな子も素直な気持ちで向き合えるからなのだろう。この一年で子どもたちが畑の活動を通じ、優しい心をさらに育んで欲しいと思う。そして自分自身も子どもたちの優しい心を育める存在になれるよう、畑活動に精を出していきたい。