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やってよかった

山村留学指導員 有坂亮祐

 今年の春から、畑作業を始めた。もちろん、留学生もいっしょだが、留学生がいない間、畑の世話をするのは指導員だ。だが、私は畑の世話をするのが苦手だ。

 留学生と過ごしていると、勉強のために机に向き合わせないとならない場面が出てくる。「ちゃんと宿題をやりなさい」と口では言うものの、彼らが勉強をしたがらない理由は身に染みるほど理解できる。やりたくない気持ちはわかるのに、「やりなさい」と声をかけるのは、子どもから見たら大きな矛盾に感じることがあるだろう。あるいは、子どもは「本当にやりたくないのに、なぜやらせるんだろう」というような疑問を抱いているかもしれない。
 「大人になったら、勉強しておけばよかったと必ず思う。だから今のうちにやっておきなさい」と言うのは、ある意味、言い方が正々堂々としていない。子どもは大人ではないので反論の余地が生まれないからだ。
 年を重ねるごとに勉強の重要性というのは、だんだんとわかってくる。間違いなく重要なことなのに、子どもにそれをうまく伝えることができない。
 留学生には「勉強をやりなさい」と口を酸っぱくして言うのものの、自分が畑作業をやらなければいけなくなると途端にさぼりそうになる。
 自分も子どもと変わらないなと考えつつ畑に向かう毎日だったが、続けていると村の人に声をかけられたり、日々変化する植物をみたりして少しだけ楽しくなってきた。
 まだ畑作業の奥深さはわからないが、自分が怠らず、きちんと畑の世話をしてきたこと、その結果、留学生と野菜を収穫できたこと。収穫できたものがセンターの食卓に出てきたときは「やってよかった」と思った。
 世話をしなければ、達成感はなかった。「やってよかった」と「やりたくない」とは背中合わせ。日々、学び得ていくことの意味を、留学生に背中で示していきたい。















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