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ネオワイズ彗星

山村留学指導員 高木陽光

 この話が、本誌に載る頃にはもう話題になっていないと思うが、7月現在、内太陽系にネオワイズ彗星が飛来している。今年の3月に発見されたばかりで、4か月後の7月中旬に満を持して地球にも接近してきた。

 そもそも彗星とは、見た目こそ流れ星に似ているが全く違ったもの。記憶に新しい7月2日の関東地方で目撃された火球はいわゆる、流れ星だ。彗星と流れ星の一番の違いは大きさだ。砂粒程度の流れ星に比べ、直径200mから40?とかなり巨大だ。彗星が太陽の重力に引かれ近づいていくにつれ、太陽の熱で表面が蒸発する。蒸発した物は彗星上で薄い大気となり、その大気が太陽風などにより、太陽と反対側に尾を作っている。
 また肉眼で見える距離とはいえ、大気中で起きる流れ星と比べ遥か遠くを浮遊している彗星は、見かけの位置はすぐには動かない。これによりヘールボップ彗星やハレー彗星などの大彗星と呼ばれる天体は、数多の人の目に触れる有名な彗星へと昇華した。
 彗星の中には、太陽の周りを公転しているものを周期彗星。そうでないものを非周期彗星と呼んでいる。前述のヘールボップ彗星は非周期彗星のひとつで、太陽に近づき「くの字」に折れ曲がるような軌道で太陽系を離れていった。
 恐らくもう二度と見ることは無いだろう。一方のハレー彗星は周期彗星だ。細長い楕円軌道を描き、約75年の間に地球と太陽の距離の60倍も離れた海王星までを往復している。そのため紀元前から人類に記録されている。
 今回のネオワイズ彗星は周期彗星だ。公転周期はなんと約6800年。学園生にこれらの話をし、1ヵ月近くの間、見る事が出来るこの彗星を何としても見たかった。だが、梅雨の間に晴れ間が無かったことで残念ながら一度も自分達の目では見られなかった。次回の接近は西暦8704年の予定だ。
 学園生には、夜が本当に暗く空気が澄んでいる売木にいる間に一つでも多くの天体ショーを見てもらいたいものだ。















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