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待つ、そして見届けること

山村留学指導員 伊藤僚

 今年度は、八坂美麻学園と大岡ひじり学園の兼務になりました。よろしくお願いします。
 
 子どもたちの様子を見て、集団生活を送る中で、人間関係トラブルは付きものです。よくある例で「○○が言うこと聞いてくれない」といって悩む子がいたとします。その子が言っていること自体は正しいのですが、それを相手の子が聞いてくれるかは別問題で、大抵は聞いてくれない。そして、指摘している子自身もできていないこともしばしば......(もちろん、私も小さい頃そうでした)。

 このような、集団だからこその問題は、「理不尽なこと」として子どもたちの前に立ち現れるわけですが、それを乗り越えようとする過程で、他人を知り関係を作っていくことへの関心が高まっていくのだと思います。
 それだけに限らず、家族に会いたいけど会えないとか、通学路がきついとか......大抵の悩みは人にとって理不尽さを伴う上に、ストレスになるものです。でも、楽しい活動があったり、いろいろな人と話したり、好きなことに打ち込むことで、一つのことに固執せず心を軽くすることができる。そんな山村留学の日常を改めてかけがえのないものだと感じる日々です。
 また、指導者同士で話しているときのこと。
「一年間という期間の中で、指導者にしかできないことは待つこと。」と聞き、「なるほどそうか」と思いました。そうやって子どもたちに、「自分で気づく」機会をもたらしていくのだと。また、同時に、「こどもたちのため」「指導のため」「安全管理のため」と言って機会を奪いすぎてしまうことをもっと怖れなければならない、とも。
 今の世の中はスピードと結果が求められる情報社会の時代! けれども教育にとって必要なのはじっと待つことだと感じる。















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