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指導者だより

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条件付け

山村留学指導員 有坂亮祐

 子どもとセンターの隣にある体育館で遊んだあと、外に出ると芝刈り機の音と刈られた草の青臭いにおいがした。空は曇っており、もわっとする空気が肌にまとわりつく。「なんか夏の感じがする」とつぶやくと、隣にいた留学生が、「そうですよね!」と言った。
 夏に通り雨が過ぎたあとは独特のにおいがする。五月はまだ始まったばかりだというのに、夏の到来を感じさせた。何故だか無性にわくわくする。室外に出たあとにもわっとする空気、草のにおいが夏の条件付けだ。その感覚は子どもも同じのようだ。

 活動前、子どもたちにミーティングをすると伝えると、「えー......」「めんど......」などなど、ネガティブな単語が飛び交っていることが多かった。彼らの中ではセンターで本を読んで過ごすほうがいい様子。特に、ミーティングのときは、指導者が話しているだけのことが多く、話を聞いているのかどうかわからない表情の子どもたち。そこで、ネガティブになってはいけないとわかりつつも、どうしても影響を受けてしまう。
 活動前のミーティングはとても大事なものだから、それをしないまま活動を始めようとは思わない。戦(いくさ)は戦(たたか)うころには半分が終わっている、という話がある。それと一緒で、活動は始まる前にはすでに結果が決まっているように思う。
 今年から、子どもたちに聞く姿勢を作ってもらうために活動の要点をゲーム形式で説明することにした。すると、以前よりも話し手側の目を見ることが増えた。
 それを続けてきたが、GWの連休でネタを切らし、今日は導入部分のゲームをしないことを伝えると、「えー!? いつものやんないんですか!?」という返事が返ってきた。ミーティング前のネガティブな雰囲気が払拭(ふっしょく)できた証拠だろうか。
 ミーティングのときに、子どもが聞く姿勢になっていることは、よりよい活動になるための条件なのだと強く感じた。















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