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三十八期スタート

山村留学指導員 戸田佐和子

 記録的な暖冬だったから春の訪れが早く、旬の山菜も早いのではと期待していたが、帳尻合わせのような寒の戻り。
 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、様々なことが例年とは違う状況だが、確かに季節は巡り桜が咲きツバメもやってきた。

 四月三日に入園のつどいを行い、始まった三十八期生の山村留学生活も早一か月。
 例年同様この時期は、生活の土台となり自立の糧としていく「基本的生活習慣」と「生活技術の定着」を目指し指導している。しかし、年齢や生い立ちが様々な八人の集団生活は始まったばかり。当然ながら一度の指導で習得するはずもなく、根気よく繰り返す必要がある。
 案の定、挨拶のできなさ・電気の点けっ放し・トイレの履き物の乱れ・便座の蓋の開けっ放し・干し方のいい加減さで風に飛ばされる洗濯物・片付けせずに次のことをする等、目に余る事柄は枚挙にいとまがないほど。
 全く違う環境で育った個人が集まれば、相容れないことや驚くことは多い。次第に、何かを間違った子に「(説明を聞いて)わかったって言ってたじゃん!」「話、聞いてた? 何度も言われたのに、なんでちゃんとやらないの?」と思わず語気を強める継続生や年上の子たち。同調しそうになる自分にも言い聞かせるように、一度注意されて変わるわけではないし、誰しも最初から完璧だったわけではないことを伝えると、言葉がけを変えた子もいた。年齢・生い立ち・力量の差や価値観の違いに気づいたのだろう。
 ややもすれば、集団生活と行動の細々としたルールを押しつけそうになるが、根本的な価値観を与え、行動規範のようなものを教えたいと思う。
 最低限他人に迷惑をかけたり不快感を与えたりせず、自分の責任を果たすことなどを根本として、お互いが気持ちよく過ごすための心遣いを大切にしたい。















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