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「今ここでこそ」
大岡ひじり学園
山村留学指導員 坂本明日香
いつになく雪の少なかった冬が終わり、大岡の山々は、最初に咲き始めたダンコウバイやキブシの花の黄色から、桜のピンク色と新緑の優しい緑色へと移り変わり始め、春がようやくやって来た。
四月五日、大岡ひじり学園二十四期生十五名の山村留学生活が始まった。二週間前から健康観察を行い、無事センターに集合した子どもたち。規模を縮小して行った入園のつどいでは、丁度見頃を迎えたダンコウバイの黄色い花を手に入場し、「次にこの花が咲く時まで共にがんばろう」との気持ちを込めて、一人ずつ花瓶に挿した。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、世界中で様々な物事が起こり、変化し、昨年度の二月下旬頃からは、私たちの生活も大きく変化した。大岡での山村留学生活では、学校の休校が大きな変化の一つだが、子どもたちは今のところ、健康管理に気をつけながら元気に、豊かな自然の中でのびのびと過ごしている。
学校の休校中は、平日の午前中を学習の時間として、子どもたちはセンターの机に向かい、学校からの課題に取り組んでいる。これまでは当たり前のように通学していた学校の休校が二カ月ほど続き、子どもたちの口からは、「早く学校に行きたいなぁ」との言葉が何度も聞かれる。当たり前のことが当たり前ではなくなった今、当たり前だった物事の大切さに改めて気づくことも多い。特に、昨年度の三月は、学校の休校に伴い、修園のつどいが二週間ほど早まり、子どもたちは早々に、それぞれの家へと帰って行った。仲間との残りの日々を大切に過ごそうと考えていた子も少なくない中、これまで続いていた生活が唐突に終わる衝撃は、決して小さくはなかったはずだ。私自身、「一日一日を大切に」という、聞きなれた言葉の意味が、身に染みて分かった気がした。
新年度が始まって一カ月が過ぎようとしている。今後どのような状況になるか分からないが、子どもたちには、今、ここ大岡でこそ体験できることを、一つでも多く体験してほしいと願う。