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「こんなときだからこそ」
八坂美麻学園
山村留学指導員 赤坂 隆宏
今年度の八坂45期・美麻29期は、32名の学園生でスタート。全世界的に困窮極める今の状況。「こんなときだからこそ」、前向きな話題で書き始めよう。
休校措置が続き、学園生にとって、とにかく時間がある。日中、農作業や山歩き、食文化体験等の活動を展開しつつ、夜は生活習慣定着のために使う時間も必要だが、休校が一か月以上となれば、そこまでの時間的拘束はない。となれば、学園生には個々に過ごす時間がたくさんあるのだ。
小3から異年齢の32人が個々に過ごす姿は様々。外出自粛要請が続く最中ではあるが、入園後2週間の健康状態確認が済んだ学園生は、センター周辺の野外へと飛び出し、多様な姿を見せる。
草花摘みに押し花作り、山菜採りに虫捕り、みんな募って鬼ごっこや、だるまさんが転んだ、裏山の探検、木の枝を拾ってチャンバラごっこや、工作、ボールを使って野球やドッジボールなどなど、「なにもない、けれど自然があってみんながいる」という満ち足りた環境の中で躍動する子どもたちの笑顔と笑い声が飛び交う日々。
ある日は、「ねえ、秘密基地作ったから見て!」と目を輝かせて報告にくる子。「秘密じゃなくていいの?」「あ、そうだった」などと会話をしながら向かうと、木々の間に枝や蔓を使って数人が隠れるくらいの空間が出来上がっていた。
「秘密」の基地の説明を受けながら、こんなに時間をかけて存分に楽しむような、夢中になって遊びに「浸る」時間を子どもたちに与えてあげることが、体験を詰めこむように与えることよりも大切なときもあると、自分の遊び惚けた子ども時代を脳裏に蘇らせながら再認した出来事でもあった。
「こんなときだからこそ」できることもあり、気づけることもある。しっかり前を向いて、今だからできることを選択し、最善を尽くしていきたい。