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『暮らしに学ぶ』

山村留学指導員 青木 高志

 この冬は記録的な暖冬と小雪で、地域の方々は「雪かきもしなんで、楽な冬だけど、こう畑の土が出てると、働け働けと言われているみたいで、気持ちが休まらんのう」と話していた。
 確かにセンターの周りも、雪が降ったと喜べばすぐにとけてしまい、とうとう春と間違えて、フキノトウも出始めた。春の訪れの喜びは、厳しい冬を乗り越えてこそ存在するので、もう少し大岡の冬らしくなって欲しいものだ。

 学園生の冬の農家生活は、農家の方も「冬は何にも手伝ってもらう作業がなくてねぇ、何をさせりゃぁいいだ?」なんて質問をされることが多いのだが、「普段の生活の中で何か手伝うことがあれば、それをさせて下さい」とお願いをしている。
 1月・2月の農家生活は結構日数も長く、農家ではどんな体験をしたかが気になり、センター活動に帰ってきた子どもたちに、どんな手伝いをしたかを聞いた。
 「あのね、今回は豆の選別をしたの。収穫した大豆を、母さんと一緒に炬燵にあたりながら、1粒1粒虫食いが無いか確認するの。1粒1粒見ながらだから、すごく時間がかかるんだけど、お茶を飲んでぺちゃくちゃお喋りしながらだから楽しいよ。農家の冬仕事って言えば豆の選別なんだって!」
 素晴らしい体験である。センターでも味噌作りで大豆を大量に使う。センターの大豆も選別が大変で一握りの大豆を選別したら登校することがある。その中で選別がとても速くて上手な子は、農家でも体験している子たちだった。
 通巻615号「人・言葉」で加藤さゆりさんが幼少期のぼや拾い(枯枝ひろい)について書いていたが、暮らしに学ぶとは、まさにこのことだと思った。自然に寄り添いながら営みをおくる、農山村の暮らしの体験。やはりこの体験は農家生活があって初めてできることだ。
 冬は冬なりの手仕事があり、春の訪れをじっと待つ。暖冬小雪だけれども、私も春の訪れの喜びを感じられるよう、冬の今を過ごしたいと思う。















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