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「時には本音で...」

山村留学指導員 邑上貴厚


 2020年の幕開けから少し経った1月5日、神河やまびこ学園の3学期が始まった。
 今年度の冬は日本全国、雪不足に喘あえいでいると聞いているが、こちらも例外ではないようだ。

 こうして原稿を書いている今は、そんな3学期の始まりから1週間が経つわけだが、それまでに計画していたスキー活動3回のうち2回が中止という結果に終わった。
 そうして物事が中々思うように進まないと、当然生活の中での不満や衝突も増えていった。皆、ストレスが溜まっているということなのだろう。休日で皆が集う時間が増えると、トラブルも増える。
 そんな休日の朝、学園生の中から、全体で話し合う時間を取れないか? という提案があった。私も全体的に不穏な空気は感じ取っていたので、快く了承し、夕食後の時間に全員での話し合いを開くことにした。
 話し合いといってもこの話し合いは要するに互いの改善点を指摘し合う会である。そしてこの会には、ルールがいくつかある。
 「全員で車座になること。」「相手を口撃しないこと。」「言われた指摘は必ず受け止めてから自分の意見を言うこと。」などである。
 
 「コソコソ話をするのが気になる。」「真面目な話をしている時はちゃん聞いてほしい。」
 それぞれの意見や指摘に対し、全体で考えて行き、本人が納得しない場合や、全体の問題であると大人が判断した時には、大人が助言をしたり、考えるきっかけを与えたりする。物事の当事者同士ではうまく解決しきれなかった問題点や、無理に我慢をしている事柄を落ち着いて全体で考えていこうというのがコンセプトだ。
 こうして皆で意見を出し合い、考えていると、あっという間に消灯の時間を過ぎてしまうほど充実した会となった。
 翌日の彼らの表情や、互いのやり取りを聞いていると、車座になって本音を言い合うことの大事さに改めて気付かされたのだった。















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