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手作業だからこその学び

山村留学指導員 稲井祐介

 毎年十二月には、学園の活動で炭焼きを行います。センターの囲炉裏で炭を熾して暖まる以外に、今や炭窯も炭焼きの技術を持つ人も少なくなりつつある貴重な山村文化を子どもたちに体験させることも目的の一つです。

 まずは、炭にするための木を切り出す作業を行います。林業に精通している地元の方を講師に招き、指導を仰ぎながら作業を進めますが、もちろん子どもたちがのこぎりで切るだけでは到底間に合わないので、講師の方にチェーンソーを使って切ってもらう木もたくさんあります。
 切り倒した木は、炭窯の中に入るように1メートルに玉切りしますが、中にはそのままでは炭にならないような太い木もあるので、それらは適度な太さに割らなければなりません。
 そこで今度は、マサカリやクサビ、玄能(げんのう)の登場です。1メートルの原木を割る作業は、切る作業と同等に重労働ですが、普段あまりこれらの道具を使わない子どもたちにとっては、新鮮で楽しい作業でもあるようです。特に、昨年一度経験している継続生は、自分たちで作業場をセッティングし、作業を楽しみつつ、黙々と原木を割っていきます。
 炭窯を所有している施設の職員さんが、そんな子どもたちの姿を見て、「すごい方法でやってますね」と驚いていました。確かに、今時、大量の原木を割る作業は、薪割り機で行うことがほとんどでしょう。それを小中学生がマサカリを使って割っているのですから、驚くのも無理はありません。しかし、こうした作業を積み重ねることで、マサカリの扱い方やそのリスク、どこにクサビを打てばどのように木が割れるのか等を実体験として学び、また、作業に勤しんだ後の清清しさを感じることができます。
 作業後、入浴した際に手ぬぐいを絞るのもやっとの握力しか残っていませんでしたが、そのことを楽しそうに語る子どもたちを見ていると、「山留生は逞しいな」と感心するばかりでした。















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