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「みんないい人」

山村留学指導員 吉澤かおり

 朝の気温は一ケタになり、朝のつどいに参加している学園生の吐く息も白くなってきた。それなのに、子どもたちの格好といったら、半そでや半ズボンでいる子も。動き回るとそんなに寒くないのかもしれないが、見ているこっちが寒くなる。子どもたちには「体調管理も自分でやるのがここでの生活。衣服の調整もしっかりしよう」と声をかける日々も多くなった。

 さて、子どもたちは、収穫祭に向けていろいろ取り組んでいるが、今年は、地域を歩いて回り調査している子が何人もいる。
 これまでは、「何を言っていいかわからない。話すのが恥ずかしい」などと言ってなかなか調査に行く子は少なかったが、今年は、「地域の人と話すことが楽しい」と言って毎週末出掛けていく。帰ってくると「本当に地域の人って優しいよね。地元では信じられないけど、ここの人たちはみんないい人。調査はすごく楽しい」と話している子どもたち。
 そんな楽しそうにしている子どもたちに私も一緒について行ってみた。すると、「こんにちは。山留生です。収穫祭に向けて調査しているのでお話を聞かせてください」という学園生の大きな声。そして、それに「よく来てくれたね。何を聞きたいんだい?」と優しく聞いてくれる地域の人。今の時代にはなかなか見ない風景がそこにあった。
 そんな風景を見て、私もここに来たばかりの頃は、色々なことに興味があって、地域の人に話を聞いていたことを思い出した。
 今は、何でも答えてくれるネットの世界。山村に住んでいても、ネットで済ませてしまうことも多くなっている。しかし、改めて生の声、本物の体験の声を聞くと、ネット社会にはない大事なものがあると感じた。学園生はもちろんだが、ぜひ若い職員もたくさん地域に出てそんな声を聞くように声をかけていきたいと思った。地域の人は本当に「いい人」だから。















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