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「話すこと・聞くこと」

山村留学指導員 邑上貴厚

 学園での毎日の生活の中で、心休まる団欒の時といえば、やはり食事の時と言えるだろう。
 皆が食堂へとつどい、ワイワイと話をしながら、料理を口へと運び、楽しい時間が流れていく。

 今回はそんな食事の中から見えてきた集団生活が与える影響という面から、食事を見ていきたいと思う。
 4月当初、子どもたちの食事の中での会話は、指導員対一人の一方通行が基本であった。
 会話というものはよくキャッチボールでたとえられることが多いが、一人の子どもから投げられたボールが指導員の元へといき、そのボールを他の子どもに投げたとしても、毎回指導員のところにボールが返ってくる。といったところだろう。
 基本的に、他の人の話を聞くのではなく、自分の話を聞いて欲しいというところに重きを置いていたために、結局皆が楽しむというよりかは、自己満足で終わってしまうのである。そしてそういった会話は決まって「〇〇さん。あのね......」から始まるのである。こうすると、会話の対象が、最初から限定されてしまうので、他の人が会話に入る余地がなくなり、次の順番を待つしかなくなってしまうのだ。
 集団生活を続けてきた子どもたちから「〇〇さん、あのね......」の会話が、少しずつ減ってきている。
 以前の会話方法から、「今日こんなことがあってん!」といった話題が増えてきているのだ。こうすることで、会話の対象は全体となり、皆がその話題を共有することができる。全体へと投げられたボールを一人ひとりが受け止め、それを全体に投げ返すことで、全員での会話が増えてきたのである。
 この会話の事については、指導員が、具体的な指導をしたわけではないので子どもたちが集団生活の中で自然と身につけていった事なのだろう。
 現在はまだ、会話の半分が一対一であるのだが、3月にはどのような食卓になるだろうかと、楽しみである。















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