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個人体験より
三瓶こだま学園
山村留学指導員 岡坂遼
一年間の山村留学も一学期が終わりに差しかかるこの頃、中には二学期の収穫祭も見据え、日々、個人体験活動を重ねている子もいます。
長期の山留生は自分の興味のあるテーマを一つ決め、年間を通じてそれに取り組む個人体験活動というものがあり、二学期の収穫祭にはその体験を親や地域の方に発表する場面があるのです。
今、熱心に個人体験に取り組んでいるT君のテーマは「探検」です。地図を眺めたり、地元の人に話を伺いながら気になる場所を探し、実際にそこに飛び込んでいく。温泉の源泉を求め山に分け入ったり、川の源流を探り谷を遡上したりしています。私自身も以前からそういった事が好きで今でも興味の尽きない分野であるだけに、指導員として助言ができることを嬉しく思っているところです。
自分の知らない場所に行くためには、そこがどんな所か想像をし、様々な見通しを立てることが肝です。またそれが醍醐味であるとも思うのですが、普段の生活でT君は寝不足なのに日中の遊びを優先して夜の勉強時間に眠くなってしまったり、食事中お喋りに夢中で時間内に食べられなかったりと見通しを立てる事が苦手なようです。そこで、この体験をするにあたって、実際にその場所に必要な持ち物から所要時間、予想される事などを事前に自分なりに見通しを立て、準備をして出発すること・センターを出てからも、同伴する私からは危険な場合などを除いて基本的に何も口出しや手出しはしないというルールを決めました。
体験の度に「あれを持って来れば......」「意外と時間がない!」とT君にとっては予想外の場面に遭遇。見通しの甘さが出て困ったりとありますが、体験に夢中になっています。個人体験活動には、ここでしか出来ない体験を積むこと、自分の好きなことをとことんやってみるなど色々な意義がありますが、指導者としてはそこにその子ならではの成長のテーマも絡めて投げかけ、より実りのあるものにしたい、と考えています。