不可解な行動
山村留学売木学園
山村留学指導員 戸田佐和子
六月初旬のある日、小学生七名は「みどりの少年団」の活動に参加するため、お弁当を持って出かけることになっていた。
いつも後の予定が遅れるなど周囲に影響が出るくらい食事に時間がかかる子どもたち。そこで、急いで全員の荷物点検をかって出た六年生。「次、お弁当。」と確認すると、六名はドタバタと厨房へ。口々に作ってもらったお礼を言い、お弁当箱とその上に載せられたお弁当包みを手に玄関ホールへ。お弁当をリュックの中へ確実に入れるところを見届けようとしていた私は、目を見張った。無造作にお弁当箱を横にして持つわ、立てて入れようとするわ......。
「あぁ、汁気がこぼれる!」「ごはんが片寄るよ。」と、先回りして言ってしまった。しかし何よりも驚いたのは、六人全員が厨房から持ってきたそのままの形態で、お弁当包みに包まず、お弁当箱をむき出しで入れたこと。
一人の子のお弁当箱と包み(バンダナ)を取って、「こうやって包んで、最後は本結び」と教えた。他の子たちもリュックから取り出して真似ながら、「こう?」と聞いてきた。そして、集合時間に遅れないよう駆けて行った小学生たち。
送り出した後、思い巡らせた。ただ時間がなかったから? お弁当包みをハンカチとでも思っていたのか? お弁当箱を包むことを知らないわけではないだろうし。包み方や結び方を知らなかったのか? お家ではどうしていたのだろう? 自分で包んだ経験がないということ? 以前に学園からお弁当を持たせた時のことを思い返してみる。全員のお弁当箱を包み、そのまま持っていける状態にしたはず......。
紐を結ばずに済む靴の普及や包む習慣が廃れつつある現代の暮らしの中で、結ぶ機会が減っているのだから仕方がないとは思う反面、活動で習得した結び方をいかせていないことに気づく。
できることは自分でやらせることを基本に、世話を焼きすぎたり、お膳立てしたりしないように心がけたいと思った。