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蝶と子ども

山村留学指導員 寺崎成希

 山の緑も深くなり、生き物たちの活動も盛んになってきました。

 ある日の午後、子どもたちがセンターに帰ってくる少し前に、田んぼの苗の様子を見に行った時のこと。順調に育っているのを確認し、センターへ戻ろうと坂を上り始めると、1匹の蝶が飛んでいるのが目に映りました。よく見てみると黒と褐色、浅黄色の斑模様をまとったアサギマダラという蝶です。標高の高い山地に多く生息して、翅の内側が半透明の水色で、黒い翅脈が走っているのが特徴的できれいな蝶です。1日で200?もの距離を移動します。
 「採りたい!」と心が躍り始め、急いで走って虫取り網を取りにセンターへ戻り、アサギマダラが飛んでいた場所へ戻り、捕まえました。捕まえた後は、子どもたちに見せたいと思い、発泡スチロールの箱に入れてラップで蓋をして鑑賞できるように展示をしました。
 学園生が帰ってくると「これ誰が捕まえたの?」「なんていう蝶?」と興味を示してくれ、蝶に詳しい子は色々と解説してあげている姿もあり、微笑ましく感じました。

 今回、偶然目の前に蝶が現れたことで子どもの頃の感覚が甦ったのか身体が反射的に動いていました。子どもの頃は蝶、バッタ、カブトムシなどよく採っていましたが、大人になると採る機会も少なくなっていました。
 それでも身体は覚えているもので、考えるよりも先に体が反応するのだなと驚きを感じました。子どもの頃はごく普通に身の回りにあった自然環境の有り難さを改めて実感しました。
 子どもの頃に自分の手で触れたり見たりして体験・経験したことは、時を経てもしっかりと身体に刻まれていて、いざという時に使える引き出しになっているのだなと感じた出来事でした。
 子どもたちもたくさんの物を見て触れて引き出しを増やしていってほしいものです。















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