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『食事作りの工夫』
大岡ひじり学園
山村留学指導員 持山真
「ただいまー? お腹すいた!今日のごはんなに?」学校から帰園した子どもたち。ただいまとセットで夕食の献立を聞いてきます。「今日はね、いわしの梅煮だよ」
「いわし? 梅って梅干し? うわーまじか......」
なんて素直な反応でしょうか。
毎年、魚嫌いな子は何人かいます。骨を取って食べるのが苦手という子が多いのですが、家庭でもあまり魚は食卓にでないとのことで、食べ慣れていないようです。
苦手な物も挑戦して食べてみるように指導しますが、逆に苦手意識を持ってしまっては意味がない。私は工夫をして調理しています。
いわしは梅干しと一緒にじっくり煮て小骨は食べられるようにして出しました。小学生のRは魚も梅干しも苦手。夕食の配膳に、案の定、しかめっ面でRはやってきました。配膳が終わり、いただきますのあいさつをして食べ始めます。最初はなかなか手を付けずにいたのですが、梅干しと生姜でいわし独特の臭みも消え、梅干しの酸味でまろやかになって、食べやすくなっていたようで、なんとRがおかわりをしました。みんなRが魚も梅干しも苦手なことを知っているので「Rが魚をおかわりしてる! すごい!」と驚いていました。本人が一番驚いていて、「今日のは食べられるよ」とニヤッと笑って食べていました。
Rが「梅干しのこってない?」と聞いてきて、今度は梅干しをおかわりしました。「この梅干しが美味しい。これならいっぱい食べられるよ」と嬉しそうに言っていました。こういう姿を見ると、本当に嬉しく思います。
翌朝に、白いごはんとは別に、このいわしの出汁で少しだけ炊き込みごはんを炊いて、「食べたい子どうぞ」と出しました。
するとRも炊き込みごはんをよそいに来ました。そんなRにみんなが「食べられるの増えて良かったね!」と褒めると、照れくさそうにニヤニヤ顔を隠しながら食べていました。
こうやって少しずつ自信をつけていってほしいです。