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子どものプライド

山村留学指導員 高木陽光

 かつて私も、ここの学園生だった。地域おこし協力隊として売木学園の指導員になり、もうすぐ二か月が経つ。大人になると時間の経過を速く感じるとよく言うが、私はこの二か月間で速く感じる事が少ない。むしろ時間がゆっくり進んでいるような。その「ゆっくりとした時間」の中で過ごす子どもたちとの生活は、とても濃密で、昔の事がよく思い浮かぶ。

 学園生だった当時、私が一年目の頃。時間の使い方や普段の生活に、そこまで意識をしておらず集合時間に遅れたり、宿題をやらずに怒られたりした。もちろん客観的に見れば言われて当然だと、今はわかる。が、当時は何か言われるのがとても嫌だった。ちっぽけなプライドが傷つけられるからだ。

 プライドは悪い方に働いてしまう場合、他人からアドバイスをもらったり注意を受けたりすると素直に聞くことができない。見栄を張り、さらには「?だったから」などとすぐ言い訳をする。自分はまさにそのタイプだった。

 結果が全ての社会に出て、上司に言われやっと気がついた。その言い訳になんの意味があるのかと。周りにどれだけ迷惑をかけたか、注意を聞かなかったことでどれだけ損してきたかを後悔した。書き並べただけでも煙たい人間だったと思う。

 大人になるまでに気づけない事だろうか?

 否、子どもでもわかる事だ。決して上から押さえつけて、プライドをズタズタにするのではなく、なぜ注意されるのか、なぜ言い訳をするのかを正面から子どもたちに聞いていく。その過程で子どもたち自らに気づかせていく。

 幸い集団生活は、「気づき」に向いている。他人の目をすぐ感じられる事、それをすぐに伝えられる環境だからだ。

 子どもたちはかけがえのない生活を送っている。かつて、気づきのきっかけを逃した自分だからこそ、子どもたちにしっかり期待をかけて、その気持ちを子どもたちに直接伝え、過ごしていきたい。















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