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「作業の中から見えたもの」

山村留学指導員 邑上貴厚

 新年度が始まって、1ヶ月近くが経った。4月は寒い日が続いた神河でも、ようやく春らしい暖かな日々が続いている。
 神河やまびこ学園は今年度で13期目となる。今年は12名の定員に対し11名の小学生が、共に生活をしている。
 

 昨年度から継続して山村留学をしている2年目で最高学年のAさんとBさんは共に学園の柱として、皆をよくまとめようと日々奮闘している。
 週末のある日、学園では田起こしと畑起こしの活動を行なった。AさんとBさんや、他の継続生たちが先頭に立って作業をし、田起こしは1時間半もの間誰もふざけることもなく作業を終える事が出来た。
 小学生だけの力でここまで集中して作業ができると思っていなかった私は、この事実に驚きを隠せなかった。
 時間が経っていたので「今日はよく頑張ったから、畑起こしは明日にして、お風呂にしようか?」と問うと、6年生の2人から「今日のうちにやってしまいましょう!」という声があがった。
 そして、言うが早いか、道具の入ったリヤカーを引っ張って、さっさと畑に向かってしまったのだ。
 あっけにとられている私を尻目に、「水飲みに行く子は一旦センターに帰っていいよ!」と6年生から指示があった。
 いざ畑に着いて私は更に驚かされることになる。
 なんと、継続生は誰一人休まず、畑にやってきたのだ。そして「ちょっとは休んだら?」と言う私に対して、「新入園生が来るまでに、少しでも進めておこう!」と彼らは結局休む事なく畑を耕し始めたのだった。
 後からやってきた新入園生は、疲れた様子を見せながらも、継続生の姿を見たからか、誰一人文句も言わず、合計3時間に及ぶ作業をやり遂げたのだった。
 「背中で語る。」
 そんな言葉を体現したかのような6年生の姿に、私は心を打たれたのだった。彼らの今後を、誇らしい気持ちで、見守っていきたいと思う。















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