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判断力
山村留学売木学園
山村留学指導員 戸田佐和子
少し前、確か新聞記事だったと思うが、読んで、その内容にハッとした。子どもに失敗をさせられない大人たちのことが書かれていたからだ。子どもが大して危ないことをしているわけでもないのに、反射的に叱責口調で「危ない!」が出てくる人たちが多いとのこと。
先回りしての注意やアドバイスなど、いつも予防措置を取り続けているうちに、子どもが判断力を失ってしまうのだ、と。
いろんな場面を振り返ってみると、思い当たる節があると感じた。怪我や事故に繋がる恐れがあることに関しては、未然防止策を取り続けてきたつもりだ。しかし、その線が曖昧になり、大したことでなくても、あんなことになって困らないように、こんなことになって失敗しないようにと、先手を打って声をかけている時もあるように思う。口うるさく注意喚起しすぎていることもあると反省する。実際の失敗が起こると、「ほら、言ったとおり。」となるわけだが、失敗は、ただ経験すればよいというものではなく、次に活かすことが大事だと思ってきた。その記事によると、子どもが何か失敗した時こそ、気持ちを支えたり、必要なことを伝授したりするチャンスなのだそう。それも、よくわかる。
何かを試みた瞬間に、機先を制して意気込みを妨げられることが続いた子どもにしてみれば、自分は信用されていないと思って当然だろう。大人の目が届いている場で本当に危ないことになったら、その時に止めればよいことであって、自分で考えさせ決めさせるべきことにもつい過保護・過干渉になるなど、子どもから失敗の機会を奪っていることもある。その結果、判断力が鈍るのだと思う。
学園生たちには、これまで自分で判断することを促し、たとえ失敗しても責めたり叱ったりしないよう心がけてきたつもりだった。しかし、最近になっても、考えたらわかることを聞かれたり確認されたりするにつけ、本当に自分で判断できないのだろうかと、心配になった...。修園まで残り少ないが、でんと構えていたいと思う。