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「心を整える」

山村留学指導員 伊藤僚

 十二月初頭、子どもたちと池田町にある成就院という曹洞宗のお寺さんへ坐禅体験に行った。
 この時の和尚さんのお話がとても心に残ったので紹介したい。

 受験生が進路のために一所懸命勉強するように、人が何かをする時には大抵の場合、目的あある。しかし、和尚さんはこう仰っていた。
 「うちの宗派では、坐禅をする際の目的は『座る(坐禅をする)』ことだけ。これは他でも同じこと。だから、目の前のことに集中しなさい。そうすることで、心が整ってくる」
 この言葉に私ははっとした。
 活動にあれこれ意味合いを持たせようと目的を丸出しにしてお話を聞きに行った私自身に浅ましささえ感じた。
 つまり、言葉であれこれ言うのも大事だが、体験という最高の教材があるのだから、冗長な話は抜きにして体験に集中できるような段取りをすれば良かったのだ。
 日々の生活を大切にする点で、お寺での生活は山村留学と通ずるところがある。お寺さんが言うには、基本的生活習慣の極意は、ただ、目の前の行動に集中することなのだ。
 「調身、調息、調心」という言葉にある様に、ただその作法(形)に従って取り組む。そういった時間が、繰り返し日常生活の中にあることで、と整った心の状態が作られるのだろう。
 坐禅体験活動は、太鼓練習や、来年度に向けての面談、時間があまりなく、慌ただしい時期に実施した。けれども、お寺での時間はとても静かで、子どもたちにもどこか、ゆとりのある様子で、文字通り心を整える時間となったのだろう。坐禅は、脚を組んで姿勢を固めて行う。じっとしていなければならないので決して楽な活動ではないのだが、「また行きたい」と、いう子が多く、面白かったようだ。
 お寺では、新鮮だがどこか心落ち着く時間を過ごせたように思う。















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