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感謝の気持ち

山村留学指導員 有坂亮祐

 大川村の人は親切な人が多い。
 舎監で泊まりにくる学校の先生は、センターで壊れていたコンセントを直してくれたり、iPadでの学習のため、ネット環境を整えてくれたりする。ほかにも、受験のための志望理由書が書き終えていない留学生のために、休みの日にもかかわらずセンターにきてくれることもあった。

 村の人も親切で、甘いものに飢えている留学生のためにおやつの差し入れをしてくれたり、部活でおなかが減る子のために朝食で余った食パンを使い、サンドイッチを作ってくれたりした。
 周りの人が親切な一方、留学生にはそれが普通になっているように感じる。その最たる例が食事だと思う。大川のセンターでは食事のメニューに対して文句が出ることが多い。好き嫌いがあることは当然だと思うし、食事を作ってくれている人に対して敬意を払ったうえでの文句だということも薄々感じる。
 しかし、あまりにも何度も聞いていると文句を言うのは、単に「ありがとう」という言葉の照れ隠しかもしれない、と。

 村の人は優しく、留学生に対して親切にしてくれるシーンは何度も見る。村の人は見返りを気にせず親切にしてくれる。留学生はお礼の言葉が口にでることはあまりない。たとえそこに照れがあったとしても、感謝の気持ちを素直に伝えられるような人になってほしい。そんなことを思いながら迎えた三学期。ある休日に指導員がお汁粉を留学生にふるまった。午後三時におやつが出ることはあまりなく、お汁粉に飛びつく。お汁粉に飛びつくばかりで、作ってくれた人に対してあまり関心はないように感じた。
 しかし、たった一人だけ「お汁粉、おいしかったです!」と、言った。留学生に驚きと成長を感じる昼下がりだった。















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