紙漉き活動より
三瓶こだま学園
山村留学指導員 岡坂遼
一年間の山村留学をやりきったことを賞し、年度の締めくくりの行事、修園のつどいで子どもたちに渡す「修園賞」という賞状があります。島根県には有名な和紙の産地がいくつかあるということや、子どもたちに紙のなりたちを知って欲しい、また自分達で作ることによってものに愛着を持って欲しいという観点から、毎年十二月ごろに紙漉きの活動を行い、この「修園賞」に使う紙を漉いています。今年度は、ユネスコの無形文化遺産にも登録されている石州半紙の産地、島根県浜田市三隅町の石州和紙会館で体験をさせていただきました。
体験するにあたって、子どもたちには事前に、紙に関しての知識や、この活動のねらいについて話し、動機付けをしました。その中で、「自分だけの修園賞にするために、小さいワンポイントをつけよう。そのために紙に漉きこむ小さな植物などを準備しておくように。」と話しをしました。毎年手近な小ぶりの葉などを自分なりに綺麗にレイアウトして漉きこむ子がほとんどでした(去年は死んだカメムシを漉きこむという凄い案も一部ありました)が、今年の子どもたちは、今年度の各々の体験を象徴するような個性的なワンポイントを持参した子が大半でした。
「綿の栽培から編み物までをテーマに頑張ったから!」と綿の一部を持ってきた子、「キャンプや個人体験で何かと一年お世話になった便利植物」と棕櫚(しゅろ)の皮を見せる子、キャンプが得意な子は「これがキャンプの必需品!」と火打石で火を熾す際に使う火口を持参していました。その他にも猪の毛など個性的な素材が目白押しで、紙漉きを教えてくださった講師の方も「すごい、何これ?」と見慣れない素材に興味津々、子どもたちも「これはね...。」と得意げに説明をする姿がありました。
一年間の山村留学はまだ残り一学期ありますが自分の一年を締めくくる修園賞に自分だけの体験を丁寧に漉きこんでいく姿から「自分は今年、これを頑張ったんだぞ」という自信のようなものが早くも感じられ、嬉しくなりました。