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地域に埋もれている体験材

山村留学指導員 戸田佐和子

 師走の声を聞き、巷ではやれクリスマスだのイルミネーションだのと騒ぎ始めた頃、学園ではお正月準備活動に勤しんだ。クリスマスというイベントが日本に根付いて久しいが、子どもたちにクリスマスとは何か説明できないし、学園でわざわざ取り上げなくても、子どもたちは他の場で否が応でも触れる。いつの間にやら日本の国民的行事となったハロウィンやバレンタインデーなども然り。本来の意味もわからないまま、楽しそうだからやるという考えも悪くはないが、意固地だと思われようが私は、積極的に取り上げない。折角の山村留学中に、巷と同じ様なことをしなくても良いと思うから。

 幾つかのお正月準備を体験した学園生たちは、大掃除の由来は煤(すす)払いであること、作ったしめ飾りやおやすの意味や飾り方、餅つきをして作った鏡餅のうんちくなどを知った。誰もが一般的なお正月を説明できるようになったと思う。加えて、売木村の年越しや大正月についても知ることができた。
 売木村には固有の伝統文化・生活習慣・行事などが数多く残っているが、過疎高齢化と後継者不足により、その伝承が困難になった。そこで、それを危惧した村が十年程前、映像で記録に残すため撮影したビデオが存在する。これがとてもよくできているので、活動ミーティングの際には、にわか仕込みの私の説明ではなく、ビデオを活用しない手はない。
 村の年越しや大正月の過ごし方などを理解した今回の活動でも大いに利用。非常にわかりやすく、知っている村人が出演していることもあって親しみやすく、学園生たちは興味深そうに見入っていた。
 帰省し、家族と年越しし、お正月を迎えた子どもたちは一月八日に帰村。村ではモチイ(小正月)の準備に忙しい頃だ。百姓の正月とも言われ、豊年満作を願い、オニギや俵に見立てたものを飾ったハザ作り、アワボを生らせた穂垂る作り、オタッシャギ作りなどをする。イナホとモチバナ・繭玉作りなども。素晴らしい体験材なので、積極的に取り組んでみたい。















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