田んぼ
山村留学指導員 寺崎成希
今年も無事、田の活動を終えることができた。毎年同じ作業の繰り返しだが、その年の気候によって生育状況が左右されるため、常に気を張りながら田んぼに足を運んだ。そんな中で、今年の田の活動は、昨年までとは違うことが一つあった。それは育苗である。八坂のセンターでは、植える苗は地域の方からいただいていたが、今年は育苗から取り組んでみた。
稲作
センター長 市川太郎
私は売木村で生活を始める前よりいつかは自分でお米を作ってみたいという思いを持っていました。縁があり、田んぼをお借りすることができ、教えていただきながらお米作りを始めて今年で12年目になりました。現在は6.5aほどの田んぼで米作りを行い、今年はコシヒカリを5俵ほど収穫することができました。家族が1年間食べるのに十分な量です。
『センターのお風呂』
山村留学指導員 伊藤僚
春休み中に、ボイラーが壊れ、センターの風呂に入ることができませんでしたが、ようやく修理完了し、普段通りの生活が戻ってきました。
お風呂が直るまでの半年間は、近くの大岡温泉に振替入浴が決まりました。そのため、子どもたちの生活は、毎夕、温泉に通うことが日常になり、そこで気づかされたことがいくつもありました。
関わり合い
山村留学指導員 稲井祐介
コロナによって近年行われなくなっていたことの一つに、様々な懇親会があります。学園生の保護者と北三瓶地域の保護者の懇親会もその一つです。普段、なかなか顔を合わせることが少ないからこそ、こうした機会は貴重なので、今年度はPTAの方々と相談し、それを復活させることにしました。
古道具浪漫
山村留学指導員 山口楓雅
脱穀の季節がやってきた。地域の方からお借りした、足踏み脱穀機や唐箕(とうみ)といった古い道具が並んでいる。子どもたちが面白がって動かすのを見て、「使い方間違えると大けがするぞ」「絶対壊すなよ」と釘(くぎ)を刺すが、これらの道具を前に誰よりも目を輝かせていたのは、他ならない私自身であった。
「修園生のふるさと」
山村留学指導員 今野公彦
くらぶち英語村が2018年にスタートして今年度で7年目となります。世界各国から集まった外国人スタッフと一緒に作り上げる山村留学は国内初の取り組みです。模範となる施設がないので、当初は試行錯誤の毎日だったのを思い出します。それから7年の月日が経ち、気付けば約90名を超える留学生が英語村を巣立ちました。
今回は1人の修園生が、英語村を訪れたエピソードを紹介したいと思います。
「いってらっしゃい」
山村留学指導員 沼澤佳明奈
つい先日、修園生がセンターに帰ってきた。中3で修園した彼女は今年から高校生。服装や髪型はおしゃれになり、スマホを手にする姿はまさに都会っ子だった。そんな見た目とは裏腹に、山留生の作法はしっかりと染みついている。
「いってきました?。」と、言って玄関を抜けると、勝手知ったる足取りで3階に上がり、学園生とお互いの近況報告で盛り上がっていた。夕食後は学園生に混ざって、掃除、布団敷き、演目練習。「当時はもっと体力があったのに、今はきつい!」と、笑う彼女の演目は相変わらず「さすが。」と感じるものがあった。
みんなのアイドル
山村留学指導員 西村萌
今年の一学期、売木学園に新たな仲間が加わり、学園生たちにとってアイドル的な存在になっています。きっかけは昨年度の修園生の保護者から寄贈していただいた孵卵器(ふらんき)です。学園で飼育しているチャボや学園生が学校から持ち帰ってきたヒメウズラの卵を孵卵器に入れていたところ、四羽の雛(ひな)が孵(かえ)りました。一つ一つの卵には、親鳥が生んだと思われる日付を書き込んでおき、孵化する予定日が近づいてくると「そろそろかなぁ」と卵の殻が割れる時を心待ちにする雰囲気が学園内に漂っていました。
『好き嫌いの克服』
山村留学指導員 横山みのり
今年も大岡で夏の短期活動が始まり、都会から多くの子ども達が集まった。センターの畑では茄子やトマトなどの夏野菜が豊作となり、短期活動中も、毎日採れたての野菜が食卓を彩ってくれた。
地域を知ること
山村留学指導員 吉澤かおり
この四月より、学生時代を除けば四〇年ほど住んでいた長野を離れ島根にやってきた。長野とはまた違った環境に、慣れないことも多く戸惑いもあるが、新しい発見などもあってワクワク楽しい。
「共生」
山村留学指導員 加賀美嶺
例年に比べ少し長かった夏休みも終わりを迎え、くらぶち英語村も全員元気に、二学期の生活をスタートしています。夏休み明け、草の伸び切った畑に子どもたちを連れていくと、熟れすぎて落ちてしまったトマトや、黄色くなったキュウリがちらほら。その中に、明らかに動物に食い荒らされている野菜が目立ちました。今年度は、特に動物による畑の食い荒らしがひどく、秋に収穫するはずの野菜が一学期の時点で掘り返されてしまうこともたびたびありました。夏休み明けには、「今年はあまり野菜取れなかったな」と漏らす子も。さらに、一学期には近くの神社に猿を見に行き、追いかけられて転び、怪我をして帰ってきた子もいました。山村留学の中で、自然と絶妙な距離感で付き合っていくことの大切さを改めて実感した出来事でした。
日常と非日常
山村留学指導員 松浦実穂
利賀には、世界的に有名なSCOTという劇団の拠点がある。夏の終わりには、SCOTサマーシーズンとして、様々な演出家や演者による演劇が上演される。毎年の目玉である野外劇場での花火劇「世界の果てからこんにちは?」を留学生と観覧した。
子どもに伝える大変さ
山村留学指導員 林穣
4月から八坂美麻学園で勤めている。幼少期から自然が好きだったため、自然の中で働き、心鎮まる生活が送れることを嬉しく思う。
懐かしい子たちとの再会
山村留学指導員 戸田佐和子
この二か月、不思議と「○月○日頃、売木に行きたいと思ってるんだけど、センターにいる?」という修園生のメールが多かった。山村留学していた時期はまちまち。そのうち、最も後に当時小学校中学年だった子が修園してから約二十年経っているので、最年少でも三十路、他は三十代を生きている。
大掃除
山村留学指導員 伊藤僚
7月7日の七夕の日、大岡ひじり学園では、学期に一度の大掃除がありました。
1学期みんなが生活したセンターをきれいにすることを目標に、学園生たちは朝から1時間半ほどかけて自分たちの寝室の掃除をした後、夕方までは全館掃除を行いました。
山留生らしい場面
山村留学指導員 浅平泰地
日々の暮らしのなかで学園生を見ていると、山留生らしいな、と感じる場面が時折ある。特に野外でのモノづくりに熱中する姿や自然に対する姿勢は、これでこそ山留生! と思わずにはいられない。そのような姿に触れると、こちらも何とも言えず嬉しくてたまらない気持ちになるものだ。これまで一学期に目に留まった山留生の姿をいくつか紹介したい。
「好奇心」
山村留学指導員 村田宗一郎
「見て見て!大きいクワガタがいるよ!」みなかみのキャンプ場で子ども達が喜んでいた。そこにある指導員がやってきて、クワガタを捕まえ、「これは深い山と書いてミヤマクワガタというんだよ。森の深い山にしかいないんだ。」と説明を始めた。あっという間に十人ほどの子どもが集まり、楽しそうに説明を聞いていた。その瞬間、子ども達が何かに興味を持ち、実際に触れ、新しい知識を得ていたすばらしい瞬間だと感じた。
「地図を広げる」
山村留学指導員 山口楓雅
とある留学生が一枚のプリントを持ち帰ってきた。「とやまみんなの地図作品展」のパンフレットだ。周辺地域の姿を観察・調査し、それらを「地図」として表現することにより、地図や地域に対する関心を深めることがコンセプトらしい。非常に興味をそそられる。過去の入賞作品をみてみると「立山登山頂上アタックマップ」「富山県水力発電所MAP」など、私の琴線に触れる作品が次々と目につく。
朝のつどい
山村留学指導員 高橋菜花
この春、私は継続二年目となった。昨年度、共に「山留一年目」として過ごした学園生も「継続生」となり、周りのことをあれこれ気に掛ける様子が見られる。子どもたちのそんな成長を感じながら、自分自身も背筋を伸ばす日々を過ごしている。
経験がものを言う
山村留学指導員 戸田佐和子
四十二期生の山村留学生活が始まって早一か月。例年同様、特に新入園生たちは基本的生活習慣や生活技術を身につけるべく怒涛(どとう)のような日々を過ごしてきた。ホームシックに悩んだり、集団生活への適応や環境への適合の難しさに直面したりしながらも努力している。一方、継続生たちはがらりと変わった学園の雰囲気に戸惑いながらも奮闘中。幸先の良いスタートをきれたとは言えないが、変化や成長を少しずつ感じている。